精油を買うとき、「小ロット蒸留」「農場直送」という言葉を見ることが増えました。でも、それが実際に何を意味するのか、説明されていることは少ない。ここでは、Lavender Emberdaleで行っている蒸留の方法と、大量生産の精油との違いについて、できるだけ具体的に書いてみます。

蒸留量が香りに影響する理由

水蒸気蒸留は、植物に水蒸気を当てて精油成分を揮発させ、冷却して液体に戻す方法です。一度に大量の植物を詰め込むと、蒸気が均一に通らず、下層の植物が過熱されます。過熱された部分からは、本来の香り成分とは異なる熱分解物が出ることがあります。Lavender Emberdaleでは一回の蒸留に最大8キログラムのラベンダーを使います。これは商業蒸留所の一回分の数十分の一です。

温度と時間のコントロール

蒸留温度を低く保つことで、熱に弱い香り成分(リナロールなど)が壊れにくくなります。ただし、温度を下げると蒸留時間が長くなります。Lavender Emberdaleでは一回の蒸留に約90分かけています。大量生産では効率のために温度を上げ、30〜40分で終わらせることが多い。どちらが正しいというわけではありませんが、香りの輪郭の細かさに違いが出ます。

ロット番号が意味すること

Lavender Emberdaleの精油ラベルには、蒸留日とロット番号が記載されています。これは品質管理のためでもありますが、それ以上に、この精油がいつ、どの畑のラベンダーから作られたかを示す記録です。同じグロッソ種でも、6月下旬の第一ロットと7月中旬の第三ロットでは香りが違います。開花が進むにつれて、カンファー成分が増える傾向があります。

採油率について正直に

採油率(植物重量に対する精油の収量)は、品種・気候・収穫タイミングによって変動します。Lavender Emberdaleのグロッソ種の採油率は0.8〜1.1%の範囲で変動します。「高採油率=高品質」ではありません。採油率が高い年は、必ずしも香りが豊かとは限らない。数字よりも、実際に嗅いでみることが大切です。

小ロット蒸留の限界

正直に書くと、小ロット蒸留には限界もあります。価格が高くなること、在庫が安定しないこと、ロットによって香りが変わること。これを欠点と見るか、特徴と見るかは、使う方の判断です。Lavender Emberdaleでは、在庫切れの際に「次の蒸留まで販売停止」という方針を取っています。補充のために品質を妥協することはしません。

精油を選ぶとき、ラベルに書かれた情報を確認する習慣をつけると、選択の基準が変わってきます。蒸留日、採油率、産地。これらが記載されていない精油が悪いわけではありませんが、記載されている精油は、作り手が何かを伝えようとしているということです。